せっかく作った販売作戦は採用されなかった。

かねてより考えていたが、学習研究社応援団は解散することにした。

『科学』、『学習』の将来に多大な不安を持つが、あくまでも、やるのは、学習研究社のおじちゃんたちだ。本人がやらないと言っている以上強要はできない。

ある日曜日の夕方、ぱぱちゃんは、サイゼリアに団員を集め、日頃の労をねぎらった。

そして、学習研究社から書面で販売作戦を採用できない旨の連絡があったことを伝えた。

『今日ばかりは、好きなだけ飲食してください』とぱぱちゃは言った。

『『科学』はなくなっちゃうの？』とある応援団員は、心配そうにぱぱちゃんに尋ねた。

『最初は、『学習』と同じように、学期別にしていくのだろう』とぱぱちゃんは答えた。

『『科学』が毎月でなくなるのは、いやだよ』とある応援団員は、まるで駄々っ子のように言った。

また、ある女子応援団員は、

『ぱぱちゃんが、ここまで一生懸命しているなら、どこがダメだとか、こういう理由でダメだとか、説明するのが礼儀だと思う。自分の用件だけ書いた、こんな失礼な手紙があるのかしら』

と本当にくやしそうに言った。

『これだけひどい一部上場会社も珍しいだろう。自分たちはどう思っているのか知らないが、バカなことばかりやっていて、他人から学ぼうとか、他人のために生きようとかそんなことがまるでない。文筆家きどりで、非常識で、プライドばかり高い。こういう集団は淘汰される運命なのさ』とぱぱちゃんはやや酔いが回って、吐き捨てるように言った。

『でも、せっかく作った販売作戦を何とか試してみることはできないのかしら』とこの女子団員は言い、<BR>

『学習研究社の運命は、学習研究社のおじちゃんたちがすべて決めるものなのかしら。何だか不思議な気がするわ？』とこの女子応援団員はビールを飲みながらつぶやいた。

『会社は、従業員だけのものではない。株主のものでもあるだろう。株主を無視しきった、遠藤社長のあの総会での態度は何だ。社員か総会屋か何か知らないが、グルになって総会をリードして、全く不快そのものだ。時代錯誤もはなはだしい』とぱぱちゃんは、第５７回定時株主総会のことを思い出して、腹を立てて言った。

酒に弱いぱぱちゃんの顔は、すでに真っ赤になっていた。

『学研株式を買い集めれば、俺の販売作戦を実行だってできるのさ。あのくだらない連中にも、何が正しいかを教えることができるんだ』

とぱぱちゃんは、そう言うなり、座ったまま、眠ってしまった。

その場にいた応援団員は、ぱぱちゃんの様子に驚いた。こんなぱぱちゃんを初めて見たからだ。

しばらくして、ぱぱちゃんは、目を覚ました。

『ぱぱちゃん、大丈夫！？』とある応援団員は、心配して、ぱぱちゃんに聞いた。

『大丈夫だ。立ち直りが早いのはいつものことさ』とぱぱちゃんは、笑った。